リピートする絶望、リピートしろ希望

 『まなびストレート!』について書いた文章を会社に置き忘れてしまった。推敲する予定が明日に待ちぼうけである。ともあれこの作品については、稚拙であろうと是非を問わず書かなければならないと感じていた。ぼくはぐんぐんと太陽に向かって握手したい。
 ところで、絶望について書かれた書物と、希望について記述された書物は、歴史上どちらが多いのでしょうか。近親相姦的な匂いのする問いですが。

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 標題は、千葉紗子が歌うアニメ『苺ましまろ』のキャラクターソング『「ソレ」は素敵なショウタイム』からの引用である。『苺ましまろ』のなかでは、この曲が圧倒的に好きである。とはいえ、ぼくはこのアニメを観たことがない。コミックも知らない。秋葉原ラジオ会館に巨大なポスターが貼られてあって、「かわいいは正義」というコピーともスローガンともつかない言葉を宣言していたことだけ知っている。感覚的な主観と政治用語がオタクの街でマッシュアップしていることがいかにも現代っぽくて印象に残っていた。名言である。そんなわけで、ぼくは観ていないアニメのキャラクターソングが好きなのだけど、そういう例はけっこう多い。
 曲の話をすると、気分次第では涙が出るくらい好きな部類で、企画モノらしくない素朴でしっかりとしたサウンドが胸を打つ。歌詞の内容は単純明快、初めてのライブに行きたい女の子が「最前列のど真ん中」を夢見ながらチケットの予約電話のリダイアルを繰り返して、最後にようやく繋がるというものだ。言葉はポップで軽くありながら、的確に描写を助けていて巧い。それに、内容から切り離される瞬間、歌詞の端々がにわかに名句として光りだす。

リピートする 絶望
リピートしろ 希望

 絶望は、希望のつねに少し前を行くもので、その距離に対する駆け引きがすなわちぼくたちの人生の葛藤である。希望はぼくたちの願いを動力として、百万光年先まで駆け抜けようとするだろう。

きっと繋がる あなたに繋がる
「チケットは午後1時から予約開始です」(あれーちょっと早かったか)

 電話をかけるという行為が、あなたに繋がるための架橋として変質する。あなたのステージの最前列でど真ん中に立ちたいという、健気な願いが希望の輪を回転させていくのだ。

声が聞きたい
こんなに聞きたい
憧れは夢の中までシャウト!
していたよ(いえーい)
きっと繋がる 最後には笑う
現実は私みたいな
コドモにやさしい(よっしゃー)