街のあかり

台風一過の快晴かと高を括っておれば、見る間に天気が崩れていったので早いうちに予約を取って散髪に向かうことにした。予約はすんなりだったが、なぜか現場で30分ほど待たされる。いつも同じヘアスタイルですね、気分転換に変えてみようと思わないんですか…

北野勇作「どーなつ」

午後になってから外に出た。陽射しが弱い分、暑さを感じることはない。狭い住宅街の道を表通りに向かって歩いていると、背後からギコギコと不自然な音がした。僕の歩くスピードを若干上回る速度で自転車が通り抜けようとしていた。音の原因はチェーンにびっ…

田中小実昌「自動巻時計の一日」

久しぶりの更新になってしまった。今月に入って色々な作品に触れる機会があったにも関わらず、それを文章に落とし込むだけの気力がなかった。仕事の上で自分の弱さを指摘されるなど、悔しい思いをすることが多かった。それは指摘されたことに対してではなく…

ブラスト公論─誰もが豪邸に住みたがってるわけじゃない

きっかけは、「時をかける少女」のDVD-BOXに封入されていたハンドブックに、監督の細田守とライムスターの宇多丸の対談が掲載されていたのを読んで、彼の音楽以外の活動に興味を持ったからだった。もともとBUBKAのマブ論やスペースシャワーTVの第三会議室と…

米澤穂信「さよなら妖精」

近所の喫茶店で米澤穂信の『さよなら妖精』を読み終えたあと、なんだか泣きそうな気分だったのだがグッと堪えて昼食を取ろうと思い、立ち寄った東方見聞録のチーズカツ定食を食べながら登場人物のことを考えているうちにいつしか涙が滲んでいた。 しかし、僕…

明日は、いつもの僕さ

Hang Reviewers Highのソメルさんより、リンクを張っていただいた。作品に正対する姿勢を失わずに一貫された態度で書き連ねられていく力強い文章を読んで、一読者として感服するばかりだった素晴らしいサイトであるだけに、驚きと喜びでいっぱいだ。 ところ…

のび太の結婚前夜

恋による相変わらず不安定な情況のなか、せっかくの連休を入院患者のような気分で過ごしてしまうことを憂い、気晴らしに友人と飲みに出かけたり、兼ねてより欲しかったCDJの購入を検討すべく必要な機材の情報収集などに没頭することでやり過ごしていた。それ…

何度もぼくはキラキラを

依然不安定ですが先日アマゾンより届いた『時をかける少女』を観てまた元気を貰いました。もちろん大林監督の時かけも傑作である。胸を打つ切なさを与えるラストシーンはひとつの作品として見事な幕引きとなっていた。しかし細田監督は作品としての完成度は…

ぼくたちたまに話す程度でいいなんて思わない

ご機嫌いかが? 今日はカフェで読書等。どこか上の空だったのは、今年の春から入社してきた新人の女の子が気になっているからである。この二週間彼女の指導役としてずっと付きっきりだったのがいけない。小柄で一見大人しそうな印象だが話すと思いのほか気丈…

鬼火

なんとなく忙しい週が続いてしまいブログを更新することがまったく出来なかった。これは良くない。本来であればどれだけ多忙であろうと生活の中に更新作業を習慣づける必要があるというのに徹底出来ていないのだ。活路は此処だ。頑張ろう。 ところで最近夢を…

瀉血ごと散りゆく櫻ひとひらひら

昨日から頭が重たい。なかに重油が溜まっていて傾けるたびにゆらりゆらりと酩酊にも似た感覚だ。その為午前中の入社式を終えたあとは家に帰ってなんとなく横になったり本を読んだりしていた。帰りがけにいくつかビデオを借りた。ルイ・マルの『鬼火』をまた…

つながる気持ち、ひろがる想い

聖桜学園は、何も変わっていません。 でも、わたしは少しだけ、変わろうと思います。 日曜日の深夜アニメを観るのは、ある種の覚悟が必要だと思った。次の日のことがどうしても頭を過ぎってしまい、作品と正対することが出来ない気がして。現実と虚構の板ば…

リピートする絶望、リピートしろ希望

『まなびストレート!』について書いた文章を会社に置き忘れてしまった。推敲する予定が明日に待ちぼうけである。ともあれこの作品については、稚拙であろうと是非を問わず書かなければならないと感じていた。ぼくはぐんぐんと太陽に向かって握手したい。 と…

窓はいつも開けておけ、寒くなければ。

本棚を買った。床に平積みしていた本は、すでに相当のスペースを占めていた。ぼくの部屋は縦長でクローゼットが多く、壁面の一部が迫り出しているから、家具を置くのにけっこう苦労する。そのためレイアウトを変更しなければならなかったのだが、どうせだか…

E.H.H. project (桜吹雪×志人) feat CHIYORI / Bad Boyz Be Ambitious

E.H.H ProjectとはEducation Hip Hop、すなわち「教育的ヒップホップ」という意味である。この言葉がいかにも堅苦しく、ともすればリスナーに対して押しつけがましい印象さえ与えかねないものであることは、インタビューのなかで桜吹雪や志人も語っていると…

キカ

[DVD]" title="キカ [DVD]" class="asin"> まず、この作品はサスペンスではないと言っておこう。むしろサスペンスに付随する複雑極まる人間関係を一笑に付す(そして諦める)、ペドロ・アルモドバル一流のユーモアとアイロニーに充ちた作品だ。 それは、この…

Prologue

ぼくの言葉はまだまだ未熟で、空っ風のなかで身を竦めている。ここは薄暗くて肌寒い。しかし、一から取り掛かるにはおあつらえ向きの場所だろう。お約束事のコードを共有しながら盲目の庭で戯れる人々のなかで、たえず心理的負債を抱えていたぼくだったけれ…

少女Q

この曲を、いわゆる電波ソングとして消費しようとする人々に対して抵抗を感じる。これは、言ってしまえば、80年代アイドルソングに向けられた周到なパロディである(中森明菜の「少女A」に対するQというアンサーソング)。僕は、何も80年代アイドルソングの…

JOHN COLTRANE / Selflessness featuring My Favorite Things

震えた。戦慄に近い感動があった。『My Favorite Things』を聴く際に込み上げるのは、そのような感情だ。一切の妥協を許さないプレイヤー達による演奏は、即興のなか互いの音でもって呼応しあいながら、何かを手繰り寄せようとする土臭い葛藤のドキュメント…