E.H.H. project (桜吹雪×志人) feat CHIYORI / Bad Boyz Be Ambitious

Bad Boyz Be Ambitious
 E.H.H ProjectとはEducation Hip Hop、すなわち「教育的ヒップホップ」という意味である。この言葉がいかにも堅苦しく、ともすればリスナーに対して押しつけがましい印象さえ与えかねないものであることは、インタビューのなかで桜吹雪や志人も語っているところだ。しかし、そういった反発を覚悟したうえで、それでもなお彼らが教育という立場で発言することを選んだのか、そのことについて考えたいのである。

あなたの居ない世界は世界とは呼べない
俺達はどれだけ君たちの事を待ち望んでいたことか
泥だらけになりながら何処か心が損なわれた世の中で探し当てた友の名は
そこのあなただ

 9分30秒にもわたる壮大なトラックと、それを埋め尽くすばかりの過剰な意味性に溢れたリリック。そのメッセージは、まるで拡声器を通じて叫んでいるかのような割れたエフェクトによって、まさしく強烈なアジテーション効果を生み出す。彼らは挑発する。自分たちを代弁者として遠ざけて、日々の鬱屈を安全な寝床で晴らそうとするリスナーに対して。店頭に並び、レコメンドだかのポップが貼り付けられ、消費の対象とならざるを得ない矛盾、それをなんとか乗り越えようとする彼らの姿勢に賛同する。これは、ほかならぬ「あなた」へ向けられた、彼らからの真っ向なるメッセージなのだ。

立ち上がれ 若者よ 町中で語らおう

 ぼくは彼らの言葉を真に受けたい。だから究極的には、おそらくぼくは、このレコードを捨てなければならないし、あるいは、レコードを携えて、町に飛びださなければならない。それがいつになるのかぼくには分からない。どういうかたちを取るのかさえ見えない。けれども、このブログは、最終的にはこのブログを否定するかたちで終わるだろうし、そのために言葉を尽くしたいと思う。他人を侮辱するだけの、自分を優位に置きたいだけの、冷笑的に振る舞いながら安全な地位から発せられる言葉なんていらない。ぼくが必要としているのは、何かを始めるための、最初の一歩に繋がるための言葉だ。

夢を亡くした奴らへ いかした音を聞かしてやれ 東から昇る兆し むき出しの陽射しと成れ
あきらめるなよ 蓄えるのさ

 かっこよく堕落するなんて、そんな言葉は捨ててしまえ。かっこいいということはなんてかっこいいんだろう!