明日は、いつもの僕さ

耳をすませば [DVD]
 Hang Reviewers Highのソメルさんより、リンクを張っていただいた。作品に正対する姿勢を失わずに一貫された態度で書き連ねられていく力強い文章を読んで、一読者として感服するばかりだった素晴らしいサイトであるだけに、驚きと喜びでいっぱいだ。
 ところで同サイトで以前に取り上げられていた『耳をすませば』を、ぼくも昨日観かえしていた。もともとジブリ映画随一の傑作だと信じて疑わなかったのだけれど、改めて観賞してみると、ストーリーや舞台設定などで記憶との相違がずいぶん見受けられた。雫ってあんなに庶民的な団地に住んでいたっけ等。原作もよく読んでいたので、イメージが混在してしまったのかも知れない。ともあれ今ふたたび観賞して驚いたのは、これはまさに今現在のぼくの気分を踏襲した作品であるということだった。泣き出したくなるような不安に押しつぶされながら物語を書き上げた雫の、「荒々しくて率直で、未完成」な力こそ、ぼくが今もっとも必要とする原動力にほかならない。今は雫の気持ちがよく分かる。ぼくは素敵でありたい。なりたい自分になりたいのだ。
 あったかも知れない青春の日々を懐かしんで、今の自分から引き剥がして満足するにはあまりに重要な問題を孕んだ作品。年甲斐もないなんて関係ない。これは今なにかを始めようとする人々にとって、まさしく現在進行形の物語なのである。